写真提供:NPO緑の地球ネットワーク
[中国大同、黄土高原の水質浄化と水確保] 

 2001年、「緑の地球ネットワーク」というNPOの依頼を受け、中国は大同の黄土高原に調査に出かけました。ここは毎年渇水に悩まされている。スコールのような雨が降っても土をえぐり作物が根付かず、水は逃げ、いっそう砂漠化が進む、そういう土地ですから、水はほんとうに大事なんです。このNPOは、中国の緑化活動を志して、リオサミットが開催された1992年以来、最初は5人のメンバーではじめたそうです。主として大同の黄土高原を活動場所としてすでに10年以上の植林の実績を積んでいます。2000年、事務局長の高見邦雄さんが、このNPOは在阪なんです。当時長崎大の石崎先生から紹介を受けたといって訪ねてこられました。翌年に、ともかく行ってみようということで、私も、北京から夜11時過ぎの夜行列車で7時間半ほどかけて大同に行きました。
 それからもう4年がたちます。大同の環境植林センターに設置した浄化槽は、一日 250tの生活排水を処理する能力を持っています。生活排水をなんとか灌漑用水に使えるようにということで、現地で材料の土探しに苦労しました。



日本ならステンレスを使ったりするんですがそんなものはここにはない、代わりになるものをと、材料を色々工夫しましてようやく浄化装置を完成させました。最初びっくりしたんですけど、ここは1年のうち3ヶ月は水が凍って使えないんです。やむをえず浄化装置も冬眠します。でもこれがよかったんです。その間に何ヶ月も仕事をしていた浄化装置の土壌はゆっくり休んで回復することができる。
 
だから今のところ目詰まりもせず順調で、その水を導水した池ではずいぶん金魚も増え、憩いの場所になっていると聞いています。 この浄化装置を作るために、外務省の草の根無償資金協力を受けています。 ここではさらに炭鉱水が地下水としてあるので、それもなんとか使えるようにできないかと、今研究に取り組んでいます。本研究科ではこの大同の黄土高原がフィールドワーク研究の現場の一つになります。飲み水の確保と排水処理水の再利用がテーマです。
 またこのNPO緑の地球ネットワークは、インターン研修の受け入れ先にもなってくれます。黄土高原では砂漠の緑化や水問題の他に、海外援助、都市問題、人口問題などなど様々な課題を与えてくれるフィールドになると思っています。

 
[中国太湖で水質浄化]
 中国の同済大学と提携して、太湖で水質浄化のための調査を 2004年から始めています。太湖は中国では3番目の淡水湖で、湖面面積は2000万k?u、琵琶湖の3倍あり、流域には江蘇、浙江、上海と安徽があって、これらの都市から汚染物が大量に流入して大変水質が悪化しています。
これをなんとかしなければというので、現地の土壌、植生などの自然浄化機能を利用した水質浄化システムを開発・設置するのが目的です。同済大学には1年近く日本から研究生を派遣して共同で取り組んでいます。



フィールドスタジオワークとしては、希望者は夏休みを利用して、宜興市近くの村に最長3ヶ月ほど滞在して共同調査、研究に取り組むことになります。また蘇州市では JICAの同様のプロジェクトが進んでいて、こちらは工業廃水が主となりますが、JICAとも協力して調査研究を進める予定です。
 他にも同済大学と共同で、2009年に完成が予定されている三峡ダムを有する長江流域で、流域の生活排水が流入する前にあらかじめ排水処理・浄化ができる方法を考えることになっています。これらのフィールド/スタジオ研究は、同済大学やJICAとの共同研究の一環としておこないます。